今後ソーシャルレンディングは衰退へと向かっていく

ソーシャルレンディング
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なぜ衰退の流れなのか

透明性がない

ソーシャルレンディングは賃金業法の関係もあり、情報を開示することができません。またファンドの複数貸付化が求められており、関係会社に対して投資していることは珍しくありません。その結果場合によっては変な貸付先に貸し出されている場合が多くあります。

相次ぐソーシャルレンディング業界の不祥事

ソーシャルレンディング業界では主に3つの事件が発生しました。恐ろしいところはこの事件が1年という短い期間に起こっているということです。みんなのクレジットやラッキーバンクの不祥事は、新規事業者である事から昔から続いている会社であれば問題ないという雰囲気がありました。しかしながら、古くから続く業界最大手であるmaneoでも業務改善命令が下されました。その件でプラットフォーム事業の問題点についても分かったのにも関わらず、他の個人ブログの情報によると、投資家保護に積極的であると考えていたトラストレンディングが、プラットフォーム事業を展開することが報道されています。

あくまでも匿名ブログのため、情報としては新聞といったメディアよりは正確性に欠けますが、もし本当にこの情報が本当でプラットフォーム事業展開するのであれば慎重に判断しなければならないでしょう。ただmaneoとは違い賃金業を元々営んでいる企業に限定されるためリスクは低いと見ることができます。

ソーシャルレンディング業者にありがちですが、なぜ公式リリースする前に匿名ブログに情報を開示するのでしょうか。そのようなことをやっているから業界不信へと繋がるのです。売り手と買い手だけではなく、買い手の中での一種の情報の非対称性が強まるばかりです。

ソーシャルレンディング赤裸々日記 比較情報-ニュースサイト「スクープ! トラストレンディングが他社へのレンディングシステム提供開始を宣言!内部統制の整備やガバンンス強化のためのコンサルティングも実施!」

 

みんなのクレジット

2017年3月に金融庁から処分が下されました。ホームページ上では「不動産担保ローン」、「中小企業支援ファンド」と表記し、あたかも関係のない他者に対しての貸付でしたが、実際にはグループ会社への貸付でした。投資家にとってはリスク回避の視点から貸付先を分散化したいという要求がありましたが、それを裏切る結果となりました。また担保を有しているとの表現がありましたが、その担保が存在しなかったり、あったとしても担保的価値が著しく低いものでした。

更にはその貸し付けたグループ会社は元々債務超過に陥っており、返済が困難な状況でした。募集をした出資金で以前の出資金を返済するというポンジ・スキーム状態にもありました。担保も役立たないことから最終的には2018年3月にサービサーに債権を売却し、3%しか回収できず、投資家は最大で97%の元本損となりました。

ラッキーバンク

2018年2月金融庁から業務改善命令が下されました。これも例のごとくラッキーバンクの親族が経営するX会社に対して貸出しを行っていました。このX社も水増し会計をしており、返済が困難な状態にも関わらず募集を続けていました。また不動産担保ローンという表現を用いていましたが、実態としては不動産評価額をお示しする不動産価格調査報告書が適切なものではなかったため、行政処分へと至りました。

みんなのクレジットと違うところは当該不動産が実在している事や、ある一定度の担保的価値があることから3%しか回収できないといった自体は考えにくいということでしょうか。

ソーシャルレンディング業界最大手 maneo

2018年7月金融庁から業務改善命令を受けました。maneoはプラットフォーム事業を展開しています。システムを貸し出しているグリーンインフラレンディングでは太陽光発電、バイオマス発電、海外水力発電など再生可能エネルギーに対するファンドの出資を募集していました。しかし、募集を行ったファンドにおいて、ファンドごとの分別管理が出来ていないために説明していた内容と異なる事業に対して貸出しが行われていました。またグリーンインフラレンディングの最終貸付先のJCサービスは、希望の党細野豪志議員に、投資家の出資金の一部を返済済みとはいえ貸出したと見られています。には太陽光発電事業の際補助金を環境省から騙し取ったと見られ、補助金と罰金の返済が求められています。

みんなのクレジットと違うところは当該発電所が実在している事おり、(主催者発表では)売却の見通しが立っている他、ある一定度の担保的価値があることから3%しか回収できないといった自体は考えにくいということでしょうか。

不動産特定共同事業法に基づくライバルの出現

単なるソーシャルレンディングとは違い、不動産特定共同事業法に基づく運用がされる事業者が多く台頭してきました。不動産特定共同事業法で運営した場合、貸付先や実際の特定できる建物等の情報を開示することができるようになります。その結果ソーシャルレンディングは情報が開示できないため、同じ業態(不動産)の場合、かなり高利回りでなければ、投資家の選択肢に入れるべきではない存在となってしまいました。

例えばオーナーズブック国内不動産で期待利回り4~5%となっていますが、リスクとリターンが合いません。それならば、不動産特定共同事業法に基づく運営をしているTATERU FundingやRenosyが選択肢に入ってくるでしょう。更にRenosyに至っては期待利回り8%と高利回りになっており、わざわざオーナーズブックのような利回りが低い業者を選ぶ必然性はないでしょう確かにオーナーズブックは大元は上場企業ですが、貸付先は上場企業ではありません。全く別会社である以上監督も届きませんし、不動産特定共同事業法に基づく運営をしている業者よりハイリスクローリターンであると言えるでしょう。

以前の記事でオーナーズブックの特集を書きましたが、現状はあまりおすすめしません。

しかし、他のソーシャルレンディングには再生可能エネルギーアミューズメント、海外不動産事業など国内不動産とは異なる市場に投資するファンドを取り扱う事業者もあるため、株式・国内不動産など市場リスク回避投資対象としてはアリだと思います。

ミドルリスク・ミドルリターンではない場合もある

ソーシャルレンディングは株とは違って、事業者リスクによって始めた時期によっては価値がほぼゼロに近い形になるハイリスクな投資です。決してマネオが表明しているようなミドルリスク・ミドルリターンではありません。

ただ、利回りが10%超の案件もあることからハイリターンであるでしょう。株の場合は企業の業績等関係なく、値上がり値下がりするというのが傾向としてありますので、ポートフォリオの一部としてある一定度の利回りが確保できるソーシャルレンディングは十分選択肢に入ります。

また、ソーシャルレンディングは10年以上続いている業態で、その中での健全ではない業者は三社でかつ期待利回りが7%超とプラス思考で考えるとリスクは高くないと言えるのかもしれません。

例えば10年間に渡ってに元本を7%100万円で運営した場合、半年福利で200万円近くになります。また期待利回り合計7%以上に設定する場合、meneo9社とSBIソーシャルレンディング、クラウドバンク、クラウドリース、トラストレンディング、LENDEXの14社で均等投資すれば恐らく7%以上になると思います。実績からその内の3社が健全ではない事業者であったと捉えると10年で24%になります。単純に単年で考えると2.4%の元本損のリスクを抱えることになります。でも期待利回りは7%以上なので、4.6%以上の利回りが狙える可能性があるのではないでしょうか。もちろん今回の件のように一気に貸倒れ、かつ始めたばかりの時に訪れればわかりませんが。

こういったことから分散投資の重要性があることがわかります。

まとめ

ソーシャルレンディングは原則としてはミドルリスク・ミドルリターンと言えるのかもしれませんが、去年などの始めた時期によっては、株よりもリスクのあるハイリスクハイリターンな投資です。

また国内不動産市場に投資を行いたいのであれば、オーナーズブックのような投資案件が不透明であるソーシャルレンディングではなく、不動産特定共同事業法に基づく運用をしている業者の方がリスクを抑えかつ高い期待利回りを受ける事が出来る可能性があります。

国内不動産を扱うソーシャルレンディングでかつ低利回りの事業者はその意義を失っていくでしょう。

一方他のソーシャルレンディングには再生可能エネルギーアミューズメント、海外不動産事業など国内不動産とは異なる市場に投資するファンドを取り扱う事業者もありかつ高利回りであるため、株式・国内不動産など市場リスク回避投資対象としてはアリだと思います。

ソーシャルレンディングは銀行預金と同じ金融商品ではなく、元本損のリスクのある投資です。しかし残念ながら銀行預金であるかのような表現を用いて勧誘を行う自体もTwitterやブログ上で多くあります。どんな情報も鵜呑みにせず、自ら様々な情報を多角的に調べ、リスクのある金融商品であることを理解した上で、自分の完全自己責任の元、損をしても構わない余裕資金で事を心がけましょう。

追記

書き忘れていたのですが、ソーシャルレンディングの匿名化解除に向けては2018年度中に行われるという日経新聞から報道がありましたがそちらの件に関しては下記の記事で触れています。ただ公式な発表ではないので、まだわからないといったところが正直なところです。

Ryukoの雑記ブログ「ソーシャルレンディングのトラストレンディングの内容に付いて解説」

またアクセス数が急に増加したと思ったら、ブログランキングの3位になってくれていた模様でご覧頂き誠にありがとうございます。一応ソーシャルレンディングの位置づけとしてはメインではなく昨今のカジノ関連法案といった政治などをメインとして当ブログは運営させていただいておりますので、もしよろしければそちらの方もご覧いただければと思います。

Ryukoの雑記ブログ「IR関連法案(カジノ関連法案)って何?IR関連法案は絶対に必要!」

 

更には私の記事を被リンクとして扱ってくれた模様なのでこちらも宣伝返ししておきます(笑)。他のソーシャルレンディングの匿名ブログの記事を見てみると、テンプレートを使って文字数を多く見せるのが一般的ですが、こちらのブログでは毎回独自な視点を入れて場合によっては批判的にも見ているブログになります。どうしても記事を書く以上は偏ってしまうため、色々なブログを見ることをお勧めします。その一環としてslinvestorさんのブログもぜひ一読いただければと思います。

slinvestor「セミリタイアに向けてのソーシャルレンディング投資実践記」

免責事項
・当サイトは正確な情報を提供できるよう心がけていますが、その情報の正確性等を保証するものではありません。
・当サイトで掲載された内容で生じたいかなる損害も、一切の責任を負いません。

・投資は元本損のリスクが常にあります。余裕資金かつ自己責任の元行う事が基本です。運用によって得た損害も一切保証しません。

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コメント

  1. slinvestor より:

    はじめまして。

    鋭い考察ブログだと感心しましたので、記事内で紹介させていただきました。

    >ソーシャルレンディング業者にありがちですが、なぜ公式リリースする前に匿名ブログ>に情報を開示するのでしょうか。そのようなことをやっているから業界不信へと繋がる>のです。売り手と買い手だけではなく、買い手の中での一種の情報の非対称性が強まる>ばかりです。

    同感です。上場企業であれば、インサイダー規制に引っかかるようなことが平気でまかり通っているのが、この業界の不思議なところであります。今後上場企業系が中心になれば、このようなコンプライアンス意識の欠けたこともなくなるとは思いますが。

    • Ryuko より:

      仰る通りです。仮想通貨でも嘘の情報が流れ、インサイダー取引紛いなことがされています。
      ソーシャルレンディングも匿名ブログで情報開示をするのが当たり前になれば、
      私が取材したという名目で誰かが恣意的にその事業者に対していい記事や悪い記事を書けることになり、
      それを受け取った投資家は正確な判断ができなくなるでしょう。
      時々そちらのブログにもお邪魔させていただきます。

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